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水道管横笛の作成


 材料と道具の準備

とりあえず、必要なものをピックアップしてみました。細かいことは、それぞれのところに書いてあります。

必要な材料:

マスキングテープ、塩ビ水道管
ホットメルト接着剤、紙
カシュー塗料
必要な道具:

巻尺、ボールペン、曲尺、金ノコ、
卓上ボール盤(ドリル+ドリル台)、 防護メガネ
ドリルビット(6mm、8mm、9mm、10mm)、
ヤスリ(平、平円、棒状)、布ヤスリ
フレキシブルシャフト、ルータービット
接着剤、カッター
つまようじ、古新聞

マスキングテープは、横笛作りの必需品です。写真はホームセンターで買ってきたマスキングテープで、カモ井加工紙(株)製のものです。どこのメーカーでもかまいませんが、伸縮しない紙で出来ている必要があります。
幅は24mm(または25mm)のものが良いです。売っているコーナーはペンキやハケなどを売っている塗装用品のコーナーです。
このマスキングテープは、塩ビ管を切断する時と、設計図を書き込む時に使います。

塩ビ管の種類ですが・Aホームセンターでは以下の3種類を売っています。
 普通の塩ビ管 −−− 灰色
 耐衝撃性塩ビ管(HIパイプ、HIVP) −−− 濃い青〜青緑色
 耐熱性塩ビ管 −−− 赤茶色〜えんじ色

正確な値段は忘れましたが、1メートルあたり、普通の塩ビ管が80円ぐらい、耐衝撃性塩ビ管が100円ぐらい、耐熱性塩ビ管が300円ぐらいだったような気がします。普通の塩ビ管は見た目がちょっと悪すぎますし、耐熱性塩ビ管はちょっと値段が高いので、耐衝撃性塩ビ管が一番良いと思います。特に耐衝撃性である必要性はないのですが、表面に塗装しなくても、結構いい色合いをしています。

色はメーカーによって多少違うようです。うちにあるHIパイプはシンエツのものとマエザワのものがありますが、宮流神楽笛のページの一番下にある写真はシンエツの製品で、このページにたくさん出ているものはマエザワの製品です。シンエツのHIパイプはほとんど紺色であるのに対し、マエザワのものは濃い青緑色といった感じです。個人的にはシンエツの紺色のHIパイプの方が好きなのですが、売っているホームセンターが少し遠いのが難点です。


 塩ビ水道管の切断

ます、最初に塩ビ管を必要な長さに切断しますが、切断する時に一番苦労することは、きちんと直角に切れているかどうかということです。
下の写真のように、切断する予定の長さのところにマスキングテープの片端を貼り、グルッと塩ビ管に巻きつけます。1回転した時にテープの上端がきちんと重なれば、テープの端が塩ビ管と直角になっていると考えてよいでしょう。少しでもずれていれば、もういちど傾きを変えて貼りなおし、うまくそろうまで何度でもやり直します。

   

きれいに巻きつけることができたら、もう一度長さを測って、予定通りの長さかどうか確認します。なお、テープ端の切るべき側に、ボールペンでX印を付けておいた方が良いかもしれません。切るべきテープ端の反対側を切ってしまったという失敗が、実は何度かありました。


塩ビ管を切る道具を何にするかは迷うところですが、普通のノコギリを使うとノコギリの方が悪くなってしまいそうだし、専用のものを買うのももったいないし、結局、写真のように家にあった金ノコを使うことにしました。

塩ビ管の厚みは3mmですので、3mmぐらい切れた感じがしたら、塩ビ管を少しずつ回転させ、テープ端に厳密に沿って切って行きます。

この「直角に切る」ことはとても大事です。もちろん、見た目の美しさにも影響がありますが、斜めに切れていると、音程の調整にも悪影響が起こります。
斜めに切れていると長さを測る基準の位置が不明確になってしまって、筒音の音程の調整が不十分になります。唄口からの長さが1mmずれただけで音程が変わってしまいますからね。

この後、マスキングテープをはがし、塩ビ管の両端をヤスリで削ります。
まず、平ヤスリで断端を滑らかにし、次に少しだけ角を落とします。外側は平ヤスリ、内側は平丸ヤスリを使います。


 設計図の作成と貼り付け

切断した塩ビ管よりも少しだけ長いマスキングテープを机に貼り付けます。テープの両端は、少し折り曲げておいた方が、後ではがす時に簡単です。

なお、今回は宮流神楽笛を実際に作るところを紹介します。塩ビ水道管の宮流神楽笛の指孔の直径は1〜2孔は8mm、3〜7孔は9mmで、全体にかなり小ぶりの横笛です。

さて、設計図ですが、このマスキングテープの幅は24mmなので、まずその真ん中(つまり12mmのところ)い長い線を書きます。

次に唄口の管尻側の端にする予定のところに、曲尺を使ってテープに垂直な線を書きます。この写真は少し古くて、唄口の中央を基準点にしていたときのもののため、唄口の中央に線が引いてありますが、現在は、唄口の管尻側端を基準点にしていますので、注意してください。
唄口サイズは10x12mmの予定ですので、唄口基準線の12mm管頭側にもうひとつ線を引きます。幅の方は10mm径のドリルを使うので線を引く必要はありませんが、穴をあける位置を間違えるといけないので、一応唄口の形の楕円を書いておきます。

次に、指孔の基準点のラインを引きます。唄口の基準線からそれぞれ長さを測って、曲尺を使って垂直な線を書いてゆきます。こちらは、指孔の管頭側端が基準線です。各指孔の基準ラインが引けたら、その横に孔のサイズを書いておいた方が間違いが少ないです。
下の写真のように、指孔の基準線から指孔の半径分離れたとことに、小さな線を書いておきます。実際に穴をあける時には、そのポイントにドリルの先端を合わせることになります。

そして、最後に管尻の位置に線を引きます。

なお、曲尺で線を引くときには、うまく使わないと0.5mmぐらいずれてしまいます。指孔の位置が0.5mmずれると、高音域では明らかに音程が変化しますので、注意が必要です。

設計図を描いたマスキングテープを塩ビ管に貼り付けるときには、管尻の基準線を塩ビ管の端に厳密に合わせて行います。まっすぐに貼り付けることも重要で、管尻側の位置を決めたらまっすぐに管頭の方へ貼ってゆきます。管頭側にはみ出た部分は切り取っておきます。

夏など気温の高い時は特にテープが伸びることがあります。貼ってから一度、設計図の長さが予定通りになっているか確認します。孔を空けて後でどうも音程が低いと思ったら、実はテープが伸びて設計図段階よりも長くなってしまっていた経験があります。

 ドリルの準備

右に、穴をあける道具が出してあります。ドリル、ドリルスタンド、バイス、ドリル先、防護・<Kネです。

写真の背景を見ていただくと、ウッドデッキになっていることがわかりますね。このウッドデッキは私がベランダに作ったもので、製作記はこちらのページにありますが、このウッドデッキを作ったときに買ったドリルが家にあったので、ドリルスタンドとバイスだけ買い足しました。

しかし、ドリルスタンドが6000円台、バイスが2000円ぐらいと結構な値段です。10000円ちょっと出せば安いボール盤が買えてしまうことを考えると、何も持っていない場合、ドリル+ドリルスタンドにするかボール盤にするかは、難しいところです。

防護メガネは絶対に必要です。実は、切り屑が目に入って、痛い目に何度も会いました。

ドリル先は、写真のようなセットでなくても、6mm・8mm・9mm・10mmがあれば、とりあえず大丈夫でしょう。木工用のものでなく、金属加工用のドリル先を使っていますが、木工用のものを持っていないだけで、それで良いのかどうかはわかりません。


 ドリルで下穴をあける

さて、実際の穴あけに移ります。
写真のように、6mmのドリルで、下穴を順番にあけて行きます。
設計図で書いた指孔中心ポイントにドリル先を合わせて穴をあけますが、指孔基準線は9mmの指孔に合わせて引いてあるので、下穴は基準線から1.5mm離れたところに端がくるはずです。

今までに何度か指孔の縁が欠けてしまったことがあるので、下穴をあけておいた方が間違いがないことは確かです。
しかし、下穴をあけるかどうかは微妙なところで、下穴無しで指孔を直接あけてしまっても、たいてい大丈夫ですし、そもそも面倒なので、最近は下穴無しで作っています。

また、下穴が無い方が、本当の穴をあけるときに穴の中心がわかりやすいです。こうやって写真に出していますが、かえって下穴はない方が良いのかもしれません。

穴あけに失敗しないコツは、ドリルを塩ビ管に強く押しつけず・ノ、ゆっくりと穴をあけるということです。あせってドリルを強く押しつけると、指孔の縁が欠けてしまったりします。

写真は、とりあえず、下穴があいた状態です。

写真は少し古くて、唄口の中央を唄口基準線にしていますが、現在は唄口の管尻側端を基準線にしていますので、ちょっと違います。
その点は、注意して見て下さいね。


 ドリルで唄口の穴をあける

まず、唄口の穴をあけます。
唄口と指孔は、どちらから穴をあけても大差は無いのですが、ドリル先は太い方から細い方へ交換する時の方が、ドリルチャックを回す手間が多少なりとも減るので、いつも唄口の穴からあけています。

注意することは、
 確実に塩ビ管の中心に穴をあけること、
 穴の管尻側端を唄口基準線にぴったり会わせること、
 ドリルを塩ビ管に強く押し付けずゆっくり穴をあけること、
の3つです。

塩ビ管の中心ということに関しては、下穴が無ければドリル先を縦のラインに合わせれば良いわけで、下穴が無い方が正確になるのかもしれません。

穴の管尻側端を唄口基準線に合わせることに関しては、よく見ながら慎重に行くしか仕方ありません。ただ、穴が大きくなってくると穴の縁が毛羽立ってきて、穴と接するあたりの唄口基準線ははっきり見えなくなってしまいます。唄口基準線の手前の方を見ながら、そのラインの延長上を推定して、それに穴のエッジを合わせるとうまく行きます。
また、このとき、じっと穴を見ながらやっていると、切り屑が飛んできて目に入ることがあります。防護メガネは絶対に必要だと思います。

穴の大きさは10x12mmの予定ですので、一度穴があいたら2mmずらして、穴の横幅を拡大します。ただ、2mmずらすといっても、ドリル台は多少左右の遊びがあるので、唄口基準線の反対側(12mm離れたところ)のラインにきちんと合わせることが重要です。やや控えめにしておいて、後からルーターできちんとサイズを合わせた方が確実かもしれません。


 ドリルで指孔の穴をあける

いよいよ指孔の穴あけに移りますが、注意する点は唄口と同じです

指孔は数が多いので、どうしても最後の方の穴になると急いでしまって、ドリルを塩ビ管に強く押し付けたりしやすいです。強く押しつけると指孔の縁が欠けてしまって泣くことになりますので、できるだけゆっくり穴をあけて下さい。ドリルの回転数は遅くしていません。普通ぐらいか、やや速めぐらいにしています。

写真は第1〜2孔をあけているところです。塩ビ水道管の宮流神楽笛は、第1〜2孔は直径8mmの予定ですので、8mmのドリルで穴をあけています。

指孔の管頭側端が、設計図に書いてある指孔基準線にぴったり一致するように注意する必要があります。少しでもずれると音程が変化してしまいます。やや控えめに穴をあけてルーターで調整するという手もありますが、唄口と違って形やサイズがが不ぞろいになると、見た目があまりよくないので、なるべくこの段階でぴったり合わせた方が良いと思います。

下の写真は、3〜7孔の穴をあけているところです。塩ビ水道管の宮流神楽笛の3〜7孔の直径は9mmの予定ですので、1〜2孔よりも多少直径が大きくなっているのがわかります。

   


 ヤスリで指孔を仕上げる

下の左側の写真は、穴あけが終わったばかりの状態です。孔の縁はかなり毛羽立った状態になっていますね。ただ、この状態のまま、ルーターで指孔を調整しようとしても、結局、なかなかうまくゆきません。とりあえず、マスキングテープは取ってしまいます。とったマスキングテープは、再利用しようと思えば出来ないことは・りません。ただ、穴の縁で基準線が一部削れてしまっているので、慣れないと難しいかもしれません。



まず、棒ヤスリを指孔に突っ込んでグルグル回し、バリ(毛羽立った部分のこと)を取ります。このとき、穴の表面側の角が丸くならないように注意する必要があります。穴の表面側の角がシャープでなくなると、指先の感覚で穴の位置がわかりにくくなるし、音切れも甘くなるような気がします。ですから、棒ヤスリを常に塩ビ管に垂直にして回します。そして、指孔の表面側の小さなバリは、あまり棒ヤスリで頑張って取ろうとはせず、あとで布ヤスリで取ることにします。

次に、指孔の裏側、つまり管の内側のバリを取ります。管尻から内側を覗くと、表面側から見えないところにいっぱいあります。棒ヤスリでバリを取ろうとすると指孔の表面側の角を傷つけてしまう恐れがあるので、まずマイナスドライバーを指孔の表面から入れて、裏側の掃除をします。だいたいバリが無くなってきたら、ホットメルト接着剤の棒を塩ビ管の中に入れて、管の両端を指で蓋をしてからよく振るとヒゲのようなバリが見えてきます。それを、もう一度マイナスドライバーで掃除をします。どうしても取れない部分は、注意して棒ヤスリを使います。

  

大きなバリが取れたら、目の細かい布ヤスリを細く切って指孔に少し入れ、指孔の表面側の角にある小さなバリを掃除して滑らかにします。指で小さなバリを指孔の中に押し込むようにしてから布ヤスリをかけると、きれいにとれます。指孔の角は、シャープで滑らかであることが理想ですので、布ヤスリも角が丸くなるほどかけるのは良くないです。なお、ある程度は仕方ありませんが、塩ビ管の表面を布ヤスリでこすると、くもったり傷が付いたりしますので、注意が必要です。

唄口の処理も指孔の場合と同じですが、特にていねいに取り扱います。


 ルーターで唄口を仕上げる

写真はルーターですが、ルーターと言ってもドリルの先に細めのフレキシブルシャフトを取り付け、その先にルータービットをはめてあるだけのものです。

ルータービットは、金属加工用のものではなくて、木工用のものを使っています。下の写真のように、細いスジが入っているものです。この木工用のルータービットを使えば、塩ビ管の穴を削って調整したりアンダーカットを付けたりすることが可能です。

金属加工用のルータービットは砥石みたいになっており、磨いたりするのには良いのかもしれませんが、穴を削って調整したりすることは無理です。また、指孔をあけた穴の側面を金属加工用のルータービットで磨くという考え方もありますが、それは塗装してしまえばOKだろうと考えていますので、やってはいません。

値段は忘れましたが、フレキシブルシャフトが3000円ぐらいで、ルータービットは数百円の後半ぐらいだったような覚えです。

まず、唄口を仕上げます。唄口をルーターで整えるのは、必須の作業です。音程・音色のいずれにも大きな影響があります。

唄口の大きさによる影響の実験を見るとわかるように、唄口のサイズが0.5mm変化しただけでもかなり開口端補正が変化します。唄口のサイズを測って、予定の大きさ(この場合は10x12mm)ぴったりにルーターで補正します。この唄口の大きさとは塩ビ管の表面側の穴のサイズのことです。塩ビ管の内側の部分(つまり穴の裏側)に関しては、後でアンダーカットなどを加えたりしてもっと大きくします。

なお、10mmのドリルで穴をあけていますから、塩ビ管の表面側の唄口の前後は削ると大きくなりすぎてしまいます。削るのは左右(つまり管頭側と管尻側)だけですので注意してください。それから、全体の形のバランスも整えます。

次にアンダーカットに移ります。アンダーカットそのものについては、ヤマハのフルートのページに詳しく書いてありますので参考にして下さい・Bただ、そのページに書いてあるような微妙な細工は無理ですので、だいたいの感じで行きます。

13mmの塩ビ管に10mmのドリルで穴をあけると、唄口の前後の部分は自然とアンダーカット気味に下の方が斜めに広がっています。穴の断面の一番下の部分を、塩ビ管の内壁に滑らかに移行するようにルーターで削りますが、実際には少しだけで十分です。後は、穴の前後の断面に軽くルーターを当てて断面を滑らかにしますが、ちょっとだけにしておきます。

唄口の左右(管頭側と管尻側)は、穴の断面の壁をちょっと滑らかにした後、塩ビ管の厚み(3mm)の半分ぐらい下側を60度ぐらいの角度でしっかりとアンダーカットをつけ、唄口の前後の部分に自然と移行するように調整します。篠笛にはそんなものは無いと言われそうですが、明らかに音の抜けは良くなります。なお、フルートのようなショルダーカットは一切付けていません。
最後に、指孔のときと同じように目の細かい布ヤスリでこすって小さなバリを取り、仕上げます。

指孔の方ですが、唄口と同じように管頭側と管尻側に少しだけアンダーカットを加えます。ただ、あまり強く削ると音程が変化してしまうので、指孔の断面の壁の下1/2〜1/3(つまり1mmちょっとぐらい)の部分をすこし削るだけにしておきます。

   


右の写真は、最初の頃に作った唄口の失敗例です。

上からNo.1、2、3、4、5とすると、
No.1は、横に細長すぎですね。しかも唄口の前側の壁にくびれのような出っ張りがあるのもよくありません。
No.2は、唄口が茄子のような形をしていて、しかも前側の縁が塩ビ管の長軸と平行ではありません。それに、全体に小さすぎる感じがあります。
No.3は、形も少しいびつですが、唄口の形が円に近すぎます。もう少し細長くて、きれいな楕円でないといけません。
No.4は、形がいびつなのはもちろんですが、穴の壁がガタガタで滑らかではありません。
No.5は唄口自体が塩ビ管と平行になっていませんね。これは、唄口の穴をあける場合、穴をひとつあけてその後2mmぐらい塩ビ管をずらしますが、そのとき平行に移動せずに少し回転して移動してしまったせいと思います。

いずれにせよ、このような失敗はしないようにしましょう。


 管頭の栓を付ける

管頭の栓には、ホットメルトの棒状の固形接着剤を使います。
ホットメルトは、グルーガンとかホットボンドとも呼ばれ、ピストル型の機械に棒状の固形接着剤を入れ、いろいろなものを瞬間的に接着するもので、こちらのページを見るとどんなものかわかると思います。今回使うのは機械の方ではなく、棒状の接着剤の方で、右の写真を見ていただくと、ホームセンターで売っているのを見たことがあると思います。

この写真のものはハッコーメルタースティック(ホットメルト接着剤)で、直径11.5mm長さ150mmのものです。接着剤としての成分などはどうでもよいのですが、直径11.5mmというところが良くて、これがお薦めです。

ホットボンドというものもあります。これは直径11.0mmで、使えないことはありませんが、周りに巻く紙がたくさん必要で、ちょっと今ひとつです。なお、ホビー用で直径7mmのホットボンドもありますが、これは全くダメです。

まず、簡単な方法から紹介しましょう。
右の写真のようにメルタースティックにティッシュペーパーを巻きつけて、塩ビ管にギリギリ入る程度に太さを調整します。11.5mmの棒を内径13mmの中に入れるのですから、半径で0.5mmちょっと増えれば良いわけで、2つ折にしたティッシュペーパーを全部巻きつけるとちょっと多いです。

そして、下の写真のように、唄口の管頭側端から1mm離れたところまでゆっくりと挿入し、余った部分をカッターナイフでカットします。
笛の実験に使うのなら、これだけで十分です。

   

次に、もう少しきちんとした方法を紹介しましょう。

右の写真のように、紙(コピー用紙)にボンドをつけてメルタースティックに巻きつけ、紙をメルタースティックに接着します。写真は10cmぐらいの長さの紙を巻きつけるように置いてありますが、実際には5〜7cmぐらい、つまりメルタースティックに紙が2周ぐらいすれば十分です。

今回は塩ビ管に接着剤で固定する予定ですので、メルタースティックが塩ビ管に簡単に出し入れできるぐらいにしておきます。あまり隙間があってもいけませんが、窮屈な状態では、表面に接着剤を付けると塩ビ管の中に入らなくなってしまいます。

最近のボンドは1時間ぐらいするとベトつかなくなりますので、下の写真のようにカットします。写真は長さ20mmでカットしていますが、最近は25〜30mmぐらいにしています。あまり小さいと、表面にボンドを付けるときに、ボンドが手に付きますし。それと、多少管頭側から見えた方が感じが良いかななんて思っています。

下の右側の写真は、長さ25mmにカットして、両側にカシューを塗ったものです。
まず、塗装した面がまっすぐできれいな方を唄口側と決め、唄口側の半分ぐらいまで紙の表面にボンドを塗ります。そして、塩ビ管に管頭から半分ぐらい挿入します。半分入ったら、残りの部分にボンドを塗り、唄口から1mmのところまで押し込みます。後は、乾燥したらお終いです。



メルタースティっクは全長150mmなので、25mmにカットすると一度に栓が6個できて、とても便利なのですが、最近はもう少しビジュアル系に凝った方法でやっています。

上の写真のような細切れにはせず、長いまま塩ビ管の中に、一度挿入してみます。そしてメルタースティックの先端が唄口の1mm手前まできたらそこでストップし、その位置でメルタースティックを管頭ジャストのところで切断します。中に残ったメルタースティックを一度取り出して、両側にカシューを塗ります。なお、メルタースティックを取り出すには、塩ビ管の中に紙の巻いてないメルタースティックを入れて振ればよいです。

後は、前に書いたものと同じように、ボンドで塩ビ管に固定します。右の写真はその完成したところですが、管頭の見た目は、やはりこの方が良いと思います。


 唄口と指孔に塗装する

まず、塗装にあたってのコンセプトですが、見た目をよくすることよりは、音質(音色)をよくすることがメインです。電気ドリルで穴をあけていますので、どうしても穴の断面はきれいではありません。ルーターで磨くよりも塗料を塗ってしまった方が、簡単に断面をツルツルにすることができます。

塩ビ管でも、普通の塩ビ管(灰色)と違って、耐衝撃性塩ビ管(HIパイプ)はもともと横笛に適した良い色をしています。内面や外面は塗らなくても大丈夫です。

塗料にはカシュー(油性漆塗料)を使います。ホームセンターに行けば、どこでも売っていて、写真のような小さな缶入りのものがあります。朱色などではあまりに派手すぎますので、今回は「えび茶色」を買ってきました。ちょっと目立たなさ過ぎる気もしますが、そこそこ感じが良いです。

塗る道具はハケではなく、ツマヨウジを使っています。穴の断面の横の壁の部分だけに塗るのには、ツマヨウジで十分です。ハケを使うと、後でハケを洗ったり、いろいろ面倒ですからね。

下の写真は、唄口の部分にカシューを塗ったところです。
唄口に関しては、塗料を塗るのと塗らないのでは全然音色が違います。音にツヤが出てきますし、音抜けが良くなって音が出しやすくなります。一瞬、ピッチが上がってしまったのかと錯覚するぐらいです。

多少外にはみ出した部分は、翌日に乾いてから、チッシュペーパーで強くこすれば簡単に取れますので、塗る時にあまり神経質にならなくても大丈夫です。うまく取れなければ、爪かマイナスドライバーでこすれば大丈夫です。ただし、塗ってから2日以上経つと、はみ出た塗料が簡単には取れなくなりますので、必ず翌日にやってください。

下の右側の写真を見ると、唄口にアンダーカットを付けたところがわかるかもしれません。

   

指孔の方も同じようにしてカシューを塗ります。
指孔に関しては、カシューを塗ると、多少、音色が良くなる気もしますが、残念ながらそれ程大きな差は無いようです。
でも、見た目がとてもきれいになりますよね。

塩ビ管の表面に書いてある文字は、ベンジンでこすると簡単に取れます。紙ヤスリでこすった痕が気になるようなら、プラスチック用コンパウンドでこすればきれいになります。最近は、表面の文字を含めて全体をプラスチック用コンパウンドでこすり仕上げています。ただし、ちょっと艶が無くなってしまいます。

下の右の写真は、完成したところです。

   

慣れてしまえば、塩ビ管を切って設計図を貼り付けるまでが15分ぐらい、穴をあけるのに15分ぐらい、ルーターで削って仕上げるのに15分ぐらい、栓を付けるのに5分ぐらい、塗装は10分ぐらい、つまり合計1時間もあれば出来あがります。ただし、一度に3〜4本作っても2時間ぐらいのものです。




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