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能管ののどの位置による影響


 実験の方法と考え方

のどの長さの実験で、内径13mm塩ビ管で能管を作る場合、のどの長さは50mmぐらいがちょうど良いとわかりましたので、今回は、のどの位置をどのあたりにするのが最も良いのかを調べることにしました。中央というのは、正確には、唄口の管尻側エッジと第7孔の管頭側エッジの等分点に、のどの中央が来るということです。

もう一度、家にあるプラスチック能管と、のどの長さ50mmでのどの位置を中央にした塩ビ管能管の、開口端補正のグラフを比較して見てみましょう。



呂音の下の方はほとんど使わないので、このままでも良いぐらいですが、のどの位置が変わるとどんな影響が出るのか見てみたいので、少しずつ位置を変えてみました。のどの長さは、すべて50mmに統一しています。


 実験の結果

のどの位置を、中央から16mm唄口寄り、中央から8mm唄口寄り、全くの中央、中央から8mm指案寄り、中央から16mm指案寄り、の5つのポイントで計測しました。

唄口の管尻側エッジから第7孔の管頭側エッジまdの距離は106mmぐらいなので、そこに50mmののどを入れると、残りの長さは56mm、前後に等分すると23mmということになります。ですから、最大に変化させても、つまり端まで移動してしまっても23mmですので、8mmと16mm・ヘ、その1/3と2/3ぐらいのポイントと考えてください。




開口端補正のグラフの形から考えると、やはり、のどの位置は中央付近が良さそうですね。しいて言うのなら、数mm唄口寄りでも良いのかなといったところです。

のどの長さの実験では、のどの長さが数mmぐらい変化しても、開口端補正のグラフの形はそれほど変化しませんでしたが、のどの位置は数mm変化しただけで、かなり大きく変わってしまいます。つまり、音程のことを考えるのなら、のどの長さよりものどの位置に神経を払うべきだろうと思います。

ただし、これは内径13mm塩ビ管で能管を作る場合の話で、本物の能管では、のどの位置は、唄口と第7孔の真ん中というのが常道です。

同じデータを、今度は甲音と呂音に分けて、ひとつのグラフに描いてみたのが以下のグラフです。


のどの位置によってどのように変化するかわかって、面白いですね。

次に、のどの位置によって音程がどのように変化するかを見てみましょう。このほう・ェ、開口端補正で見るよりも、感覚的にわかりやすいと思います。のどが無い状態をゼロ点にしています。音程の変化量は半音が1.0ですので、0.2は半音の20%変化したことを表しています。



のどの位置が変化するとグラフの位置がずれてゆくのは当然なのですが、のどの位置が8mm変化すると、グラフの位置は16mmぐらい横へずれてゆきます。これは実験する前には想像していなかったことで、新しい発見です。

また、のどの位置が8mm移動すると、音程は半音の20〜40%も変化します。つまり、単純に計算すれば、のどの位置が1mm移動すると音程は半音の3〜5%変化するわけです。ですから、塩ビ管で能管を作るときには、のどの位置をかなり正確に固定しないと、音程が正しくなりません。


 考察

いろいろ実験をしましたが、内径13mm塩ビ管で能管を作る場合、のどの長さは唄口から第7孔までの距離の半分くらいで、位置はほぼその真ん中ぐらいと、きわめて常識的な結論となってしまいました。しかし、このようなデータをきちんと定量化して分析したものはあまりないと思います。ひょっとしたら、世界で初めてかもしれませんね。



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