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塩ビ管能管ののどの作成


 ゴムシートの切断

基本的な材料は、厚さ1mmのゴムのシートです。写真はIteck社のKGR−1102という、厚さ1mm・幅100mm・長さ1メートルのロール状のもので、で、ホームセンターで368円で売っていました。
本来、防振などの目的で使うものですから、笛の音がなまったりしないかと気になりましたが、のどを入れて実際に吹いてみると、なまった感じは特に無いです。表面はツルツルですし、それなりに硬さもあるので、耐久性は不明ですが問題ないでしょう。








のどの長さに関しては多少の誤差があっても大丈夫ですが、のどの直径、つまりシートの幅に関しては厳密さが要求されます。シートの幅は38.0mmで作っていますが、37.5mmの方が入れるときに楽かもしれません。長さの方は、写真は60mmで作っています。
いずれにしても、37.0mm以下では隙間が開きますし、38.5mm以上ではうまく入りません。理論的には、のどは内径11mm・外径13mmになっているはずですから、その中間の12.0mm X 3.14=37.68mm から考えても、このくらいの数字になるはずでしょう。
そのため、定規を当ててカッターで正確に切らないといけません。ただ、黒いゴムシートに線を書いてもよく見えませんので、写真では白い紙に線を引いて、それに合わせて切っているようにしています。現在は、机に傷がつかないように、厚さ3mmの発泡塩化ビニール板に線を引いて使っています。


 円筒状に固定

   

   

次に、このゴムシートをロール状にします。固定している白いテープは単なる紙の絆創膏ですが、薄いテープなら何でも良いでしょう。ゴムの復元力がありますので、塩ビ管の中にきちんとうまく入れば、本当なら自然と広がって塩ビ管の内壁にぴったりとくっつきます。しかし実際には、テープで固定しておかないと、どうやってもうまく入りません。

手で丸めてテープを貼ろうとしてもゆがんでしまいますので、写真のようにクリップではさんでテープを貼る方法を考えました。
まず、絆創膏を片方の断端に貼り付け、その反対側の断端を少しだけ折り曲げてクリップで挟みます。このとき、折り曲げたラインが正確に直線でないといけません。次に、テープを貼ってある断端を折り曲げてきちんと貼り合せます。貼り合わせがちょうどぴったりだと、クリップをはずしたときに、写真のようにきれいな円筒形になります。


 のどの挿入と固定



のどをどうやって塩ビ管の中に入れて固定するのかは、非常に難しい問題です。ここで紹介している方法も、今ひとつ洗練された感じがありませんので、もっとうまい方法があったら教えてください。

塩ビ管の内側にゴミが付着していないかどうか確認したら、まず、のどの1/3ぐらいにボンドを付けます。そして、のどを半分につぶして折り曲げ、管頭から入れて行きます。大部分入ったら、最後のところにもボンドを付けます。中で広がってしまったら、針金(クリップを伸ばしたもの)を唄口から入れて押さえます。なるべく折れ曲がった状態の方が、入って行きやすいです。粘性度の高いものよりサラサラした感じのボンドの方が良いかもしれません。

とりあえず、ボンドは写真のものよりエポキシ系のもの(A液とB液を混ぜるタイプ)の方が良いようです。固まり始めるのが90分後とかいうのが感じが良かったです。現在、畳んで挿入して中で広げるような針金アダプターを考案中です。ピンセットをのどの内側に入れて、挟んで挿入する方法も、うまく行くときがあります。



とりあえずすっぽり入ったら、管頭の栓にも使うメルタースティックで押して行きます。メルタースティックの端が、唄口の管尻側エッジまで来たら、あと何mm入れるかを計算しメルタースティックにマーキングします。そして、そのポイントまで押して行きます。唄口〜第7孔間距離が110mmでのどの長さが60mmであれば、唄口の管尻側エッジから25mm奥に入れれば良いということです。
こののどの位置が、全体の音程に非常に大きな影響を与えます。2mmずれると半音の10%ぐらいの狂いが生じますので、慎重にやらないといけません。

次に、丸い鉛筆のとがった方をそろっと入れて、折れ曲がったのどを広げて行きますが、のどの内側にボンドが着かないように注意します。大体広がったら、こんどは丸い鉛筆の尻の方を入れてグリグリと回し、のどを塩ビ管の内壁に密着させます。最後に、唄口・t近に付いたボンドを、ベンジンで拭き取ります。

あとは、管頭に栓を付けてできあがりです。のどの作成以外の部分は、塩ビ管横笛の作成のページを見てください。


 中をのぞいたところ


左の写真は管頭側から見たところ、右の写真は管尻側から見たところです。どこがのどかと言われても説明が難しいのですが、とにかく継ぎ目も目立たずうまく円筒形に広がっていることは、お解かりいただけるかと思います。

固定に関しては、実際にはボンドなど付けなくてもほとんど動きません。むしろ、実験するときに動かなくて困ったので、白色ワセリンをのどの外側に付けて、わざわざ滑るようにしたぐらいです。

こうやって作った塩ビ管能管ですが、音程に関しては結構満足できるものが出来上がります。音色に関しては、呂音が多少かすれ気味な感じがあり、甲音も透明感があると言えば聞こえが良いですが、ちょっと力強さがありません。
でも、プラスチックの能管だって1万円以上もするし、本物は目が飛び出るぐらい高いですから、練習用には結構いけるのではないでしょうか。音程に関しては、誤差はだいたい半音の20%以内におさまるので、本物の能管よりもずっと優秀です。何人かで一緒に吹くときには、音程が安定しているので、とても良いと思います。



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